従軍五十日
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)相《すがた》で
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(例)※[#「番+おおざと」、第3水準1−92−82]
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前記
この記録は昨年九月から十月にかけて、いはゆる「従軍作家」の一人として中支戦線のところどころを視察した結果、生れたものであるが、もともとこの種のノートを発表することによつてわれわれの任が果されたとは毛頭考へてゐない。
しかし、自分の僅かばかりの見聞のなかゝら、国民全体に是非知つてもらはねばならぬと思ふことは、今日許される範囲でとりあへずそれを伝へる義務があると信じたので、いくぶん個人的な見方にすぎないことをもはつきりさせるつもりで、随筆風の印象記を綴つたわけである。
「従軍」といふ言葉を使ふことは、少くとも私一個の行動にはふさはしくなく、可なり躊躇されたのであるが、一旦さういふ名称が与へられた以上、特に異を樹てるにも及ぶまいと思ひ、わざとこれを踏襲した。
何れにしても
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