造の橋ではあるが、橋脚の丸太は直径一尺に近いものと思はれ、一枚一枚の橋桁を動かすのに、二人ではむづかしいやうな代物である。
住民の男手がまた狩り出された。
鋸と綱を探しに、両隊が四方へ散つた。
一時間、二時間、三時間、この作業は何時果つべしとも思はれず、やがて日が傾き、愛菱湖の水面に靄が浮び、驢馬が悲しげな啼声を立てはじめる。
小川部隊長は、ひとつひとつ倒され、押し流されて行く巨きな材木を眼で追ひ、さつきの戦闘の、所謂死線を越える一瞬を髣髴と頭に浮べてゐるかのやうであつた。
「敵の一部は、そこに繋いであつた船に乗つて湖の上を逃げたんです。こつちが快速艇をもつてゐれば面白いんですがねえ。この前の討伐の時は、丁度この湖の岸沿ひに邵伯鎮といふところをやつたんですが、あの時は船を使ひました。手漕ぎのやつをね。ところが、向うは砲艦を二艘もつてゐましてね、すぐそばまでやつて来て、生意気に撃つぢやありませんか。それを見つけたこつちの砲兵がすぐ応戦したんですが、この海軍、これはまた、逃げ足の早いやつで……」
さういふ話を聞いてゐるうちに、うしろでまたぶつくさいふ声がしだした。さつきの老婆がま
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