クの中へ首だけ出して匿れてゐたのを見つけたんであります。便服ですし、はじめどうしてもほんとのことを云はなかつたですが、しまひに自分で匿した銃の在りかを教へました。それと首に軍隊手牒をぶら下げてゐましたから、もう間違ひはありません」
それから、一人の将校が、
「敵の逃げる時はきつと住民も一緒に逃げるもんですから、後ろから射撃するのにとても厄介なんです。住民を殺すまいと思ふと、つい敵を射ち損ひますから……」
「だから、かういふ部落で宣撫をする時は、日本軍が攻めて来ても、決して支那兵と一緒に逃げてはいかんと云ひふくめておきます。逃げる奴は命の惜しくない奴だ」
隊長はさう附け加へた。
「今日の戦果はどうでしたか?」
私は訊ねた。
「えゝ、まあ、大体……」
と、隊長は、敵を追ひ払つただけでは満足しない様子であつた。
喬野部落にさしかゝると、一人の老婆がおいおい泣いてゐて、その傍らに二三人の男女が声をひそめて話し合つてゐる。通訳がわけを訊くと、その老婆の家が今焼けてゐるのだが、それは日本兵のやつたことか支那兵のやつたことかわからぬと云ふのであつた。
「日本軍は決してそんなことはしない。少
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