に分る。欧洲人のための病院、支那人のための有料病院、同じく無料病院、婦人及乳児のための病院。病床一五〇、手術室大小各一。
前年度成績は入院延日数二二八三〇日。毎日午前医局外来及貧民区往診。投薬数三四、七四三名。
職員其他――医師一、教母一〇、男女傭人八六(看護婦、雑役、炊事係、洗濯婦)
附属小学校――教師九、生徒一五〇。
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彼女のあとについて、部屋々々をのぞいてまはる。
こゝで私は、この病院の規模について詳しいことを語る必要はないと思ふ。たゞ、すべてが明るく、清らかで、温い微笑をたゝへてゐるやうに思はれた。「西洋」は厳然と別天地を作つてゐて、恩寵はこゝにのみあるかの如くである。重病患者の枕もとに、やはりフランスの尼さんが一人ついてゐた。にこやかな会釈をもつて私の目礼に応へた。支那人の尼さんもいくたりかゐた。それぞれ荷造りの最中であつた。院長が言葉をかけると、実にはきはきした調子で受けこたへをする。こゝにかうしてゐるのが幸福さうにみえた。
日を更めて、もうひとつの天主堂へ出掛けて行つた。そこは、郊外に近いところで、附属の神学校があり、四十人の支那学生
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