警察教練所

 憲兵隊長の勧めで、今日は警察教練所なるものを見学する。
 県警察局長の×氏が案内をしてくれる。
 どうもかういふものを見せられても私は一向勘どころがつかめないのであるけれども、所長の熱心な訓練ぶりが、やゝ公式的とは思はれたが、敬意を表するに足るものであつた。
 先づ密集隊形の教練からはじまり、槍術の型のやうなもので終るのだが、聊か講評めいたことを云へば、指揮官の動作と云ひ、列兵各個の運動と云ひ、支那式教練をはじめてみる私には、およそ戦闘の用には遠い舞伎的要素の過剰を感ぜしめた。
 私はもとより、「軍隊式教練」といふものゝなかに、単に戦闘的要素のみをみるものではない。寧ろ、それと並行して、「儀式的な」あるものゝ最も合理化されたすがたを発見するものである。秩序と礼節がおのづからそこに生れるやうな、単純で正確な方法の規定がある。これは一方、団体の精神の象徴であると同時に、武力そのものゝ装飾化である。
 この原理にもとづく教練の形態は、各国の文化の質に応じて多少の違ひはあるが、同じく最初に欧式軍隊を範とした日支両国の、今のこの距りはまことに興味深いものである。
 警察局長が
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