р Me'nage〕)は一八九八年三月、巴里フィガロの小舞台で演ぜられた。この時の役割は、ピエールに当代一の名優リュシヤン・ギイトリイ、マルトに同名にして才色兼備のマルト・ブランデスが扮した。
その後、「演劇の光輝と偉大さとを発揮せしめよう」と、古今の名作を選んで上演目録を編んだヴィユウ・コロンビエ座は、首脳コポオ自らの主演で此の作を舞台にかけた。
『日々の麺麭』とは家庭で常食に用ふる並製の麺麭である。それが何を意味してゐるかは一読すればわかる。
二人の人物は、何れも有閑階級の紳士淑女である。巴里社交生活を代表する相当教養ある男女と見ていゝ。
『別れも愉し』(Le Plaisir de Rompre)は一八九七年三月エコリエ社で上演せられ、現に、これも『人参色の毛』と共にコメディー・フランセエズの上演目録中に加へられてある。人物は、この方は、寧ろプチ・ブウルジュワとも称せらるべき小有産階級に属する男と、ドゥミ・モンドとまでは行かないが、それに似た寄生生活を営む独身無職業婦人、さういふ種類の女とである。
男は多分、会社か商店の書記であらう(彼が自負する唯一のものは「達者な筆蹟」で
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