思想的には革命主義を、生活的には進取的、野心的な道を選ぶのである。
 彼等は甚だ社交的に見える場合もあるが、その実、極端な「人嫌ひ」であることが多く、動もすれば孤独感を楽しむ風がある。
 彼等は、概して執着性に乏しい。ある時は諦めが早く、ある時は移り気である。
 彼等は、親愛の感情を現はすことに吝である。従つて「人懐つこく」ない。
 彼等の感受性は、どちらかといへば鋭敏であるが、決して素直ではない。時としては病的である。しかも、その想像力はやや偏奇的で、過剰の気味を呈し、そこから人のしないことをしようといふ天邪鬼的性向と、誰にも出来ないことをしようといふ冒険的精神と、更に、人の思ひつかない推断を敢てする妄想症が発生し、そして常に物の裏書に意をくばる皮肉な習癖が附き纏ふ。
 ただ、その感受性には独特の粘り強さがあり、従つて、禁慾主義的とさへ思はれる忍苦の趣味的傾向が生れる。
 彼等には、神経性粘液質とでも名づくべき人物が多く、殆ど内攻する癇癪の持主である。癇癪が外に爆発せず、内に食ひ入る性分である。
 以上の諸点を綜合して、彼等に共通のものは、かの潜在的憂鬱性であり、発作的放浪性である。
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