つてました。母はまた、その話を、誰かからも聞いたつて云ひますから、つまり、常習犯なんですね。
夫人 道理で、手に入つたもんでしたわ。しかし、※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]ぢやないでせうね。
京野 さうなると、※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]の方が面白いんぢやないですか。
夫人 あゝ、変な気持だ……。あたくし、食事をすまして来ますわ。
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夫人が去つた後、京野は、椅子に腰をおろす。
菅沼るいが、あたふたと現はれ、再び蓄音機の傍らに陣取る。
眼をつぶつて、レコードに聴き入る。
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京野 おい、婆さん、もういゝ加減に止《や》めろよ。だあれも聴いてやしないや、そんなもの。
るい でも、九時までが時間でございますから……。
京野 よし、よし、ぢや、かまはないから、もつと騒々しいやつをかけてくれ。
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るいは、蓄音機を止め、レコードをヂャズにかけかへる。
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るい
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