究の選賞、自国語の純化を目的とする綜合辞典の編纂改修、外国文学者及び外国文学界との公式の交歓にその任務があり、会員は老後の生活を保証するに足る年金を受ける制度になつてゐるやうである。
 欧米諸国に於て、この種の機関は殆ど例外なく存在するけれども、それぞれ多少の特色を示してゐて、その使命及び業績は一様とは云ひ難い。フランスのアカデミイ・フランセエズ(翰林院)はその歴史最も古く、十七世紀ルイ十四世の時代に創設されたものであるが、会員中には、文学者のみならず、フォッシュの如き軍人もはいつてをり、科学者、宗教家なども、その学識のゆゑにいはゆる「不滅の名」に加へられてゐるものがある。
 そこで、この文学アカデミイは、演劇に於ける戯曲の地位を確保するばかりでなく、その傾向にもある種の影響を及ぼすものであつて、もとより、アカデミイはアカデミイとしての官学臭を帯びざるを得ず、これに対して、絶えず野党的批判はあるにしても、少くとも営利を主とする商業劇場に対して、国立劇場の存在と共に、相当、牽制の役割を果してゐることは事実である。
 次ぎに、劇作家組合の保護である。この組合はもともと劇作家の連帯による自己
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