対して、速かに、官立演劇映画学校を設立すること。演劇映画の根本的改善はもはやこれ以外に道はない。
三、放送局の機構を改め、文部、逓信二省の管轄下に置き、文部省は放送番組を通じて社会教育の実をあげること。
四、図書及び興行検閲の主体を文部省に移管し、要すれば内務省側の参加を求めること。
五、全国の都市及農山漁村の娯楽教養施設に関し、その指導者を本省より派遣、又は委託すること。
六、文教に関する新事業が決して不急事業に非ざることを戦時予算の面にはつきり表はしてほしい。
[#ここで字下げ終わり]

       四

 近衛内閣の基本国策声明なるものが昨日(八月二日)の新聞に発表された。従来の声明にみるごとき抽象的文字の羅列であるきらひはまだあるが、それでも、なにかしら革新の気が見えないではない。日本人好みの、地味に、見得を切らぬところが却つて頼もしいと云へば云へるが、相変らず、肝腎の新政治体制がどういふものかといふことは語られてゐない。しかしながら、現在国民は政府のなさんとするところを性急に知らうとするよりも、もはやその導くところに従ふ覚悟をきめてゐるのである。その道は多難にして曲折を極め
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