ほしい。
[#ここで字下げ終わり]
まだいろいろ述べたいこともあるが、学校教育についてはこれくらゐにして、次に、やはり文部省の管轄に属する社会教育(成人教育を含む)について一言する。
従来、わが国の政治といふものは、国民の芸術教育、殊に芸術政策なるものにはおよそ無関心であつた。
最近、それでも映画を中心として、頓にその気運が高まつて来たのは、その実績はともかく、将来のため慶賀に堪へないのであるが、私は公平にみて、この気運が真に政府首脳部の覚醒にあるかどうか疑はしいと思ふ。その証拠に、すべて、法的に、又は事務的に解決できる方向にしか進んでゐないのである。つまり、既成のものを取締り、或は刺激するといふやうなことしか考へられてゐない。国家百年の計としての、大局に立つた政治的創意が看取されないやうである。
この問題も論じだすと切りがないから詳しく書かぬが、二三希望条項をあげておく。
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一、芸術院を改組し、各専門部門に分け、それぞれ実質的な活動をなさしめること。例へば文学部門では標準日本語辞典の編纂といふやうな。
二、官立音楽学校、美術学校に
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