子が、どんなに配列されてあるかゞ知りたい。ラザフォード(英人)は、快速アルファ粒子を彈丸として金庫破りを試みたが、輕い元素からは水素原子が出て來た驗しがある。しかし重い元素の核は、一向この方法で壞れない。いつか吾人は原子核内の状況を窺ひ得る機會に到達するであらう。その曉には世界の面目は一新せらるゝこと必然である。
金庫内に秘藏してある品物の状況はまだ判らぬものとして、その周圍にある品物はどうであるかと訊ぬるに、これらは順位が定つてゐて、容易に變換を許さない。即ち核に近い電子と、店先きに近いものとがある、位の高い電子が低いところに移るとき、光を發する。各元素に固有なスペクトルがあることは、この順位が一樣になつてゐないことを證明する。それ故電子の陳列状況を詳にするには、光線を分析せねばならぬ。これは既に分光學で調査されてあつたけれども、その意味は判明しなかつたため、一定の法則の下に整理せずにあつた。
この好材料を處分するに先鞭を付けたのは、ボーア(デンマーク人)であつた。初めて水素原子のスペクトルについて遺憾なく説明を施した。その説くところによれば、諸原子核に附隨してゐる電子は、惑星が
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