太陽の周りで運行するが如く、軌道を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]つてをつて、發光するときはその道が變更される。その光波の振動期は、軌道に在る電子のエネルギー變換で極るといふことであつた。この議論が量子論の當初の如くまた槍玉に揚げられたけれども、着々實驗證明を得たので、その説を敷衍し、また證明する實驗が學者の本務のやうに考へられ、物理學上研究論文の大部分はボーア派の獨り舞臺であつた。即ち一九一三年より一九二五年まで十二年間は、物理學史上いはゆるボーア時期なるものを劃成し、原子内の電子について少からざる光明を放つた。然し始めあるものは終りありで、段々調べて行くと、或る元素の發する光線は、どんなに實驗を委しくし計算を施しても、電子の軌道説では解釋されなくなつた。しかのみならず光の強弱や、偏りなどについては、何とも明示することが不可能である缺點を有つてゐたから、修正を施さねばならなくなつた。
量子説の説明に苦しんだ現象は干渉と※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]折であつた。これは最初から攻撃の的になつた。波動説に從へば何んでもないが、量子が干渉するには特別の機構がなければな
前へ
次へ
全11ページ中7ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
長岡 半太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング