が行われるとすれば、家屋数を同一と仮定すれば、小屋一軒当りに五、六人ではなく七、八人が住まなければならず、そしてこのことは、生活の困難の増大と相俟って、おそらくは一般人民の健康に対し極めて不利な影響を与えることであろう。
[#表(fig45455_14.png)入る]
『「一七三六年ないし一七四一年の六年間に伝染病が流行し、増加を妨げた。」
[#表(fig45455_15.png)入る]
『「一七三八年、一七四〇年、一七五〇年、及び一七五一年には特に、疾病が流行した。」
『この問題についてこれ以上知りたい読者は、ジュウスミルヒ氏の表を見られたい。私の行った以上の抜萃は、不規則であるが週期的な疾病流行季の囘起を証示するに足るものであり、そして十中八九、余地と食物との稀少が、これを齎らした主要原因の一つと考えられるのである。』
[#ここで字下げ終わり]
 既に掲げた(訳註)各国の記録簿によって見ると、その人口増加は、不規則ではあるが週期的な疫病《ペスト》と疾病流行季の囘起により妨げられていることが、分る。ショオト博士は、死亡表に関するその興味ある研究の中で、しばしば『人類の過剰の恐るべき矯正1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]』という言葉を用いており、そして報告を蒐集し得た一切の疫病《ペスト》、伝染病、飢饉に関する表の中で、その作用の不断にして普遍的なることを示している。
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 1)[#「1)」は縦中横] New Observ. on Bills of Mortality, p. 96.
〔訳註〕これを含んでこの後の合計一〇パラグラフは第一版にはない。
[#ここで字下げ終わり]
 彼れの表にある伝染病流行年、すなわち疫病《ペスト》またはある激しい荒廃的な伝染病が流行した年は、(というのは小さな疾病流行季は表に含まれていないらしいからである)四三一であり1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、そのうち二三は紀元前に属する2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。従って紀元後の年数を三九九で割ると、かかる伝染病が吾々の知る国を襲ったのは、平均わずか四年半間隔であることがわかるであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Hist. of Air, Seasons, etc., vol. ii. p. 366.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 202.
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 表に列挙されている大飢饉及び凶作二五四のうち、一五は紀元前に属し1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、その最初はアブラハムの時代にパレスチナに起ったものである。この一五を引いて、その残りで紀元後の年数を割ると、この恐るべき災難の襲来した平均間隔は、わずかに約七年半に過ぎぬことがわかるであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 206.
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 どれだけかかる『人類の過剰の恐るべき矯正』が、人口の過度に急速な増加から生じたものであるかは、これを幾分でも正確に決定することの極めて困難な点である。たいていの吾々の疾病の原因は、吾々には、非常に神秘的に見え、またおそらく実際その種類が非常に多いから、そのうちいずれかの一つを強調しすぎることは早計であろう。しかしこれらの原因の中には[#「中には」に傍点]、吾々は確かに、住居と食物に関する一国の備えが許す以上に急速な人口増加の自然的結果たる、密集家屋と不十分または不健全な食物を、数えるべきである、と云っても過言ではないであろう。
 吾々のもつほとんど一切の伝染病の歴史書は、伝染病は一般に、下層階級の間で主として猖獗を極めると書いて、この仮定を確証する傾きがある。ショオト博士の表ではこの事情がしばしば述べてある1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そして更に、伝染病流行年の極めて多数は、凶作と不良な食物季節の後に生じたかまたはこれと時を同うして生じたものであることが、わかる2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。他の場所で彼はまた、激しい疫病《ペスト》は特に下層階級または奴隷階級の人口を減少するとも云い、3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]また各種の疾病を論ずるに当って、劣悪不健全な食物により生じた疫病《ペスト》は一般に、最も長患である、と述べている4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 206 et seq.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 206 et seq. and 336.
 3)[#「3)」は縦中横] New Observ. p. 125.
 4)[#「4)」は縦中横] Id. p. 108.
[#ここで字下げ終わり]

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