る。一七八二年の下院への報告によれば人口は二、三八九、三〇〇とあり、一七九〇年の人口調査では四、〇〇〇、〇〇〇とあるが、この九年間の増加は一、六一〇、七〇〇である。それからヨオロッパの移民として年一万、すなわち九〇、〇〇〇を控除し、また彼らの五パアセント、四年半の増加、すなわち二〇、二五〇を斟酌すると、残った増加はこの九年間で増殖のみによって一、五〇〇、四五〇となるが、これはほぼ七パアセントであり、従ってこの率による倍加期間は一六年以下であろう。
『もし合衆国の全人口に対するこの計算が幾分でも真に近いとすれば、特定地方では、増殖のみによる倍加期間はしばしば一五年以下であったことは、疑い得ない。戦争直後の期間は非常に急速な増加の期間であったらしい。』)
2)[#「2)」は縦中横] 〔See an article in the supplement to the Encyclopae&dia Britannica on Population, p. 308 ; and a curious table, p. 310, calculated by Mr. Milne, Actuary to the Sun Life Assurance Office.〕 後者ははっきりと合衆国で計算された増加率を確証し例解し、そしてそれが移民の渡来によって重大な影響を蒙り得ないことを証示している。
〔訳註1〕第一版ではここに重要な註があったが、第二版以下では削除された。それは、次の如くである、――
『この種の場合においては、土地の力は、そこで人間の有ち得る一切の食物需要に十分応じ得るものと思われる。しかし、もしこのことから、人口と食物とは常に実際同一率で増加すると仮定するとすれば、吾々は誤謬に陥るであろう。一方は依然幾何的比率であるが、他方は算術的比率であり、換言すれば、一方は乗法で増加するが、他方は加法で増加する。ほとんど人間がおらず多量の沃土がある場合には、年々の食物増加を供給する土地の力は、適度の水流で補給を受ける大きな貯水池に比較し得よう。人口が急速に増加すればするほど、ますます多量に水がいることとなり、従って毎年ますます多量が取られることとなろう。しかし疑いもなくそれだけ早く貯水池の水は涸れ、水流だけが残るであろう。一エイカアに一エイカアと附け加えられ、ついに一切の沃土が占有された時には、年々の食物増加は既に所有された土地の改良に依存することとなるであろう。そしてこの適度の水流でさえ徐々として逓減しつつあるであろう。しかし人口は、食物がそれに与えられ得るならば、不滅の力をもって増進し、一期間の増加は次の期間のより[#「より」に傍点]大なる増加の力を与え、かくしてこれは際限なく続くであろう。』
〔訳註2〕この文の最初の『アメリカで行われた』以下パラグラフの終りまでは、第二版の加筆であるが、ただし『二五年以内に』とあるは第六版の訂正であり、第二―五版では『二五年ごとに』とある。
〔訳註3〕第一版ではこの次に一パラグラフあったが、第二版以後では削除されている。それは、次の如くである、――
『かかる事実は、人口が、それに対する二大妨げたる窮乏及び罪悪が除去されるに正確に比例して、増加するものであり、かつ人民の幸福と純潔の最も正しい基準はその増加であることを、証示する如く思われる。ある人々がその商売上必然的に逐いやられる都市の不健全は、一種の窮乏と考えなければならず、また一家を養う困難を見越した結果少しでも結婚が阻害されるならば、これも立派にこの部類に属せしめられ得よう。略言すれば、人口に対する妨げにして何らかの種類の窮乏または罪悪に属しないものを考えることは困難である。』
[#ここで字下げ終わり]
一八二〇年の第四囘人口調査によれば、アメリカ合衆国の人口は、七、八六一、七一〇であった。大英国は、かかる人口を生み出す元となった少数のものを移民として出したために、現在それだけ人口が少い、と考えるべき理由は何もない。反対に、ある程度の移民は、母国の人口増加に有利なことは周知のことに属する。アメリカに最多数の移民を送ったスペインの二州が、その結果として人口がより[#「より」に傍点]多くなったことは、特に注目されているところである。[#「。」は底本では「、」]
アメリカにおいてかくも急速に増加した英国移民の本来の人数がいくらであろうと、それは別として、吾々はここに問いたい、何故《なにゆえ》に同一人数が同一時期に英国において同一の増加を生じないのであるか、と。指摘さるべき明かな理由は食物の不足(訳註)である。そしてこの不足は、あらゆる社会に存在することを上来観察し来った、人口に対する三つの直接的妨げの最大の有効原因であることは、古国ですら、戦争や伝染病や
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