カ在した、と想像された1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 365.
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オランダ及びフランスの植民地は、独占的営利会社の統治下にあるが、それでもあらゆる不便を蒙りながら繁栄を続けた1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 368, 369.
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しかし、英蘭《イングランド》の北アメリカ植民地、すなわち今日ではアメリカ合衆国の有力な国民は、その人口増加において、他の一切をはるかに凌駕した。彼らは、スペインやポルトガルの植民地と同じく多大の肥沃な土地を有っていたが、これに加うるにまたそれよりも大きな程度の自由と平等とを有っていた。その海外貿易に対しては多少の制限がないわけではなかったけれども、その内政処理の自由は認められていた。当時の政治制度は財産の譲与と分割に好都合であった。一定期間内に所有者が耕作しない土地は他の何人にも与え得ることが宣言されていた。ペンシルヴァニアには長子相続権はなく、またニュウ・イングランド州では長子はわずかに二|磅《ポンド》分の分前を受けるだけであった。どの州にも十分一税はなく、また租税はほとんど何もなかった。そして沃土が極めて低廉であり、位置は穀物の輸出に好適であったので、資本は農業に使用するのが最も有利であるが、この農業たるや、最も多量の健康な仕事を与えると同時に、社会に対し最も貴重な生産物を供給するものなのである。
これら好都合な諸事情は相合して、史上ほとんど比類のない急速な人口増加を生ぜしめた。すべての北部諸州を通じて、人口は二十五年にして倍加したことが見出された。一六四三年にニュウ・イングランドの四州に植民した本来の人数は二一、二〇〇であった。その後、そこに入ってきたものよりも出ていったものの方が多いと計算されている。しかも一七六〇年にはそれは五十万に増加した。従って彼らは前後を通じ二十五年にして倍加したのである。ニュウ・ジャアシイでは倍加期間は二十二年、ロウド・アイランドではそれよりも更に短かかったらしい。農業にもっぱら従事し奢侈の知られなかった奥地の植民地では、彼らはその人口を十五年にして倍加すると想像された(訳註1)。当然最初に植民の行われる海岸地方では、倍加の期間は約三十五年であり、またある海港都市では人口は全く停止していた1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。アメリカで行われた最近の人口調査から見ると、全洲を総括して、彼らはなお引続き二五年以内に(訳註2)その人口を倍加していることがわかる2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。そして全人口は、今ではヨオロッパ移民により実質的影響を蒙らないほどに大となっており、また海岸に近い都市や地方の若干の人口増加が緩慢であることが知られているから、この国の内部地方では一般に、増殖のみによる倍加期間は、二五年より遥か以下であったに違いないことは、明かである(訳註3)。
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1)[#「1)」は縦中横] Price's Observ. on Revers. Paym. vol. i. p. 282, 283, and vol. ii. p. 260. 私は最近、プライス博士がこれらの事実を得てきたスタイルズ博士の説教の抜萃を若干見る機会を得た。ロウド・アイランドを論じて、スタイルズ博士は、この植民地全体の倍加期間は二五年であるけれども、それは場所を異にするにつれて相違があり、内部では二〇年及び一五年である、と云っている。グロウスタア、シチュエイト、コヴェントリ[#「コヴェントリ」は底本では「コヴェンリ」]、ウェスト・グリニチ、及びイクシタの五都市の人口は、西紀一七四八年には五、〇三三であり、西紀一七五五年には六、九八六であった。これは、わずか一五年の倍加期間を意味する。彼は後に、ケント州は二〇年にして倍加し、プロヴィデンス州は一八年にして倍加する、と述べている。(訳註――第二―五版ではこの註にはなおこの後に二パラグラフあったが、これは第六版では削除された。削除されたものは次の如くである、――
『私はまた最近、「合衆国人口に関する事実と計算」Facts and calculations respecting the population of the United States. という一論を見たが、これはその最初の植民以来の合衆国全体の倍加期間をわずか二〇年としている。私はこの論文が何の典拠を基礎としているのか知らないが、しかしそれが公けの事実と人口実測とに関する限りにおいて、それは信頼すべきものと考える。その期間の一つは極めて驚くべきものがあ
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