一〇及び三二対一〇であり、六四年間の中項は三九対一〇である。この表についてジュウスミルヒは、平均死亡数は一七一五年または一七二〇年より後に三分の一の人口増加があったことを示しているが、しかも出生及び結婚は人口が停止的、否むしろ減少していることを証明するであろう、と云っている。しかしながら彼はこの結論を下すにあたり、一七五九年に終る伝染病流行の三箇年間を加算しているが、この期間には結婚も出生も共に減少したように思われるのである。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 103.
〔訳註〕これ、及び以下四つの、五パラグラフは、第三版より現われたものである。
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ハルベルシュタット王国では1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、一七五六年に終る六八年間に、出生の死亡に対する平均比率は一二四対一〇〇であったが、しかし五箇年を一期とする若干の期間では、それは一六四対一〇〇というが如き高率であり、またある期間では一一〇対一〇〇というが如き低率であった。全六八年間の増加は著しかったが、しかも一七二三年に終る五箇年間では、平均出生数は二、八一八で、一七五〇年に終る四箇年間では二、六二八であり、これから見ると人口は二七年間に著しく減少したように思われるであろう。同様な外見は、三二箇年の期間中の結婚に関しても起っている。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 108.
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平均結婚数は、一七一八年に終る五箇年間には七二七で、一七五〇年に終る五箇年間には六八九であった。これら両期間中に死亡率は著しい増加を示したことであろう。伝染病は頻々と生じたように思われる。死亡が出生を超過するほどに伝染病がはげしかったときは、ほとんど常に、そのすぐ後には通常以上の比率の結婚を生じ、そして数年にして出生率の増大を惹起した。表全体における最大の結婚数は一七五一年に生じているが、これは死亡が出生の三分の一以上も超過した一七五〇年の伝染病の翌年に当り、そしてその後四、五年間は、最大の出生率を示している。出生の結婚に対する比率の両極端は、四二対一〇及び三四対一〇であり、六八年間の中項は三八対一〇である。
残余の表も同様の結果を示している。しかし以上によって、出生及び結婚、並びに死亡の、総人口に対する比率には、絶えず変動が生じていることが、十分にわかることであろう。
変動の最も少い比率は、出生と結婚との相互の間の比率であることが、観られるであろう。その明白な理由は、この比率は主として、云うまでもなく大きな変化を生じないところの結婚の出産性によって影響されるということ、これである。吾々は実際、結婚の出産性は、表における出生の結婚に対する比率の変化ほど、大きな変化があるとは、想像し得ない。またそれはかく変動する必要もないが、けだしもう一つの原因が、同じ結果を生ずるように寄与しているからである。特定の年の結婚と時を同うする出生は、主としてそれより何年か前に行われた結婚に属するものである。従って、もし四、五年間、大きな比率の結婚が行われ、その後偶然一、二年間その比率が小さくなれば、その結果として、記録簿上では、その一、二年の間、出生の結婚に対する比率は大きくなるであろう。また反対に、四、五年間は比較的に結婚が少なく、次いで、一、二年間にそれが多くなるならば、その結果として出生の結婚に対する比率は小さくなるであろう。この事実は、プロシア及びリトアニアの表にはっきりと例証されており、そしてジュウスミルヒの蒐集したすべての他の表を一見すれば、確証されることである。すなわちこれらの表を見ると、出生の結婚に対する極端な比率は、一般に、出生数よりも結婚数によって影響されるものであり、従って結婚の出産性の変動よりは、結婚に対する志向または奨励の変動から、生ずるものであることが、わかるのである(訳註)。
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〔訳註〕ここまでが、第三版よりはじめて現われたものであり、これ以下は全部第二版からのままである。
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これらの表を通じて散見している普通伝染病流行年は、云うまでもなく、結婚及び出生に対して、プロシアの表における大|疫病《ペスト》と同一の影響を及ぼしはしないであろう。しかしその流行の程度に比例して、その作用が一般に同様であることが見られるであろう。他の幾多諸国の記録簿、なかんずく都市の記録簿から見ると、疫病《ペスト》の襲来は十七世紀の終末と十八世紀の初頭に、頻々たるものがあったことがわかる。
これらの表に現われた、人口の急速な増加の時期の後に疫病《ペスト》や疾病流行季が生ずるという事実を考えてみると、住民の数が、これらの場合において、彼らの健
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