Id. vol. iii. tab. xxi. p. 29.
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『スウェーデンでは、産児の半数は三三歳まで生存し1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、そして約半数またはそれ以下が結婚まで生存するから、予防的妨げは、なお著しい程度にというわけにはいかないが、プロシアより遥かに多く、作用しているであろう。産児の中《うち》これより低い比率が結婚まで生存するフランスでは、予防的妨げの作用はおそらくスウェーデンの有様と余り違わないであろう、――もっとも、私は確かにこれよりやや低いと考えるが。ネッケルによれば2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]フランスにおける結婚の人口に対する比率は一対一一三・三分の一である。
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『1)[#「1)」は縦中横] Price's Observ. on Revers. Paym. tab. xliii. p. 132.
『2)[#「2)」は縦中横] De l'Administration[#「l'Administration」は底本では「l'Administratian」] des Finances, tom. i. c. ix. p. 255. 12mo. 1785.
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『予防的妨げの作用は、総人口が年結婚に対してとる比率で測定するのが最もよい1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そしてこの比率は、各年結婚当りの年出生数に、各年出生当りの人口数を乗ずれば、得られるけれども、しかし、産児の半数以下が結婚まで生存するからそれは低く、または産児の半数以上が結婚まで生存するから高い、ということにはならない。プロシア領のうち表に含まれている地方では、そこに出ている期間内で、産児の半数以下しか結婚まで生存しなかったが、しかも年結婚の総人口に対する比率は一対九二というように高かった2)[#「2)」は縦中横、行右小書き、底本では「1)」]。産児の半数以上が結婚まで生存するノルウェイでは、年結婚の総人口に対する比率は一対一三〇というように低い。その理由は、人口の年出生に対する比率、すなわち乗数が、これら二つの場合において著しく異るからである。
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『1)[#「1)」は縦中横] この測尺によっても、それから得られる推定は全く信頼がおけるというわけではない。けだしそれは、結婚の出産性や、青春期未満の人口の比率によって、影響を蒙る可能性があるからである。もし一国で行われる一切の結婚が、少数であろうと多数であろうと、早婚であり、従って多産的であるならば、同一の出生率を生ずるためにより[#「より」に傍点]低い結婚率でよいことは明かであり、または同一の結婚率をもってより[#「より」に傍点]高い出生率が生ずるであろう。この後者の場合は、結婚率はスウェーデンとほとんど同一またはやや以下であるが、出生及び死亡はこれより高いフランスに、当てはめ得るように思われる。そして比較される二国において、その一方が他方よりも、青春期未満の人口の比率が遥かに高い場合には、年結婚の総人口に対する一般比率は、結婚適齢者における予防的妨げの作用の同一なることを決して示しはしないであろう。記録簿の中で、予防的妨げが地方よりも都市において作用することが少いような形を示させるものは、実は一部分は、都市では青春期未満の人口の比率が低いという事実と、外来者の流入となのである。実に結婚適齢の未婚者が最大なのは都市であることには、ほとんど疑いはあり得ない。だから予防的妨げは都市においてより[#「より」に傍点]多く作用しているのであり、従って人口の半数以上が十五歳以下のアメリカの如き国においては、年結婚の総人口に対する比率は、予防的妨げがいかに実際働いていないかということを、正確に表現しないであろう。この問題は複雑であり、やや注意を要するものである。
『2)[#「2)」は縦中横] 〔Sussmilch, Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. iv. s. lxxi. p. 141.〕
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『ノルウェイでは、おそらく、産児の半数は四十三歳、四十四歳、またはそれ以上まで生存するのであろう。従って、産児のやや半数以上が結婚まで生存するけれども、二〇歳ないし四四歳の者が必ずや数多く未婚生活をしているのであり、換言すれば予防的妨げが著しい程度に行われているのであろう。スイスのヴォー州の一部では、産児の半数は四五歳までも生存する。従ってもし四〇歳までは誰も結婚せず四〇歳になれば全部が結婚するとすれば、産児の半数以上は結婚まで生存するであろうが、しかし全部が四〇歳以下には未婚なのであるから、予防的妨げは非常に著しい程度に行われていると云い得よう。
『従って、産児のう
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