が、これがおそらく真に近いであろう。Miscell. p. 3.(訳註――バアトンに関する評言は第三版以下では前章で行われている。二三七頁以下参照。)
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『これに反し、出生の死亡に対する比率が一三対一〇であり従って人口増加が急速でないシベリアでは、年出生の年結婚に対する比率は四・一対一、すなわち四一対一〇である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。またフランスでは、人口増加はシベリアよりも緩慢であるけれども、この比率は、革命前には、四・五対一であった。コルシカでは、その人口はおそらく継続的に急速な増加を示しているとは云い得ないが、出生は結婚に対し五対一であると云われている。ノルウェイにおける出生の死亡に対する比率はスウェーデンよりも大であるが、年出生の年結婚に対する比率は、ノルウェイでは三八対一〇、スウェーデンでは四一対一〇である。
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『1)[#「1)」は縦中横] Sussmilch, id. table xx. p. 81.
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『従って年出生の年結婚に対する比率が四対一以下の場合は一国の人口は危殆な状態にある、とは云い得ない。これに反しかかる比率は人口増加に好都合であり、そして人口増加の極めて急速な多数の国に存在していることがわかっている。四対一以上の比率は、それ自身としては、人口増加にとり都合が悪く、ある国では結婚の出産性が異常に高いために時にこの比率を示しながら人口が増加していることがあるが、しかし一般には、人口増加の緩慢な国に見られる率である。
『私はあらゆる機会をとらえてこの問題を例証しようと思うのであるが、それはけだしかくも多数の立派な著者が、各結婚がその継続期間中に産む子供の数を、年出生の年結婚に対する比率で測定するという誤りに、陥っているからであり、そして私は、かかる多数の権威者の一致した見解と私が意見を異にする十分な理由を、読者に納得させたいからである。これらの著者はいずれも、彼らが利用する表の与える結果を見て、驚きの意を表わしている。なかんずくジュウスミルヒ及びクロオメは、一結婚当り四ないし四・五の子供という平均は、その多くは一二人以上の子供を産む特定女子の出産性について吾々の有つ経験に反する――もっともこの子供の多くは養育中に死亡するかもしれぬが――と云っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そしてワルゲンティンは、北部地方の婦人の出産性が高いという有名な事実との関連で、この数字の低いことを指摘しているのである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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『1)[#「1)」は縦中横] 〔Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. v. s. lxxxiii. p. 169. Crome, p. 91.〕
『2)[#「2)」は縦中横] Sussmilche, vol. i. c. v. s. lxxxv. p. 173.
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『私は、プライス博士や、その他ほとんどすべての政治算術家が、人口原理を全く誤解したのは、結婚の出産性の測定法に関するこの誤りに主として由来するものと、確信せざるを得ない。もし実際この計算法が正しいならば、人口減退の恐怖には実際十分の根拠があるということになろう。
『ある国の表から、年出生の年結婚に対する比率が四対一以上であり、換言すれば、先に樹立した原則によって産児の半数以下しか結婚まで生存しない場合に、この結果が、青春期以下の多数のものが未婚で死亡する――予防的妨げの作用――によって生ずるのか、または子供の高い死亡率――積極的妨げの作用――によって生ずるのかは、かかる比率だけからは決定し得ない。しかし死亡と出生の比率は、一般に、そのいずれであるかを確証するであろう。プロシアでは、それは疑いもなく主として子供の死亡率によって生じたものである。そして各結婚当りに極めて多数の子供が生れる場合には、食物不足はなくとも十分な注意の不足によって多くのものが死亡するということは、ありそうなことと思われる。私は、下層階級の婦人が極めて早婚をする時には、彼らがもっと晩婚し、子供の数が少いので従ってもっと行届いた世話をすることが出来る場合に比較して、啻に子供の数が多いばかりでなく、またその多数を失うということは、一般に認めなければならぬことと思う。ジュウスミルヒが与えている表から見ると、プロシアでは、この期間中に、産児の半数は二四歳以下で死亡したことがわかる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そして産児の半数近くが結婚まで生存したから、結婚は早婚であったはずであり、そして予防的妨げは多くは働き得なかったであろう。
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『1)[#「1)」は縦中横]
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