六〇箇年間の中項は約三八対一〇である。伝染病流行年も時々発生したらしく、そのうち三箇年は死亡が出生を超過した。しかしこの一時的人口減少は、これに相応する出生の減少を齎らさず、しかも全表中最大の結婚率をもつ年は、一度は伝染病の翌年、もう一度は翌々年に現われている。しかしながら死亡の超過は、表の最後の年たる一七五九年に終る三箇年までは大きくはなかった。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. vol. i. tables, p. 91.
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ブランデンブルグ新辺疆[#「辺疆」は底本では「辺彊」]伯領では1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、一六九五年ないし一七五六年――この年を含む――の六〇年間に、出生の死亡に対する平均比率は、最初の三〇年間には一四八対一〇〇、後の三〇年間には一二七対一〇〇、全六〇年間には一三六対一〇〇であった。五箇年を一期とする若干期間では、一七一及び一六七対一〇〇というが如き高率であり、またある期間では、一一八及び一二八対一〇〇というが如き低率であった。一七二六年に終る五箇年間には、年平均出生は七、〇一二で、一七四六年に終る五箇年間は六、九二七であって、これによれば、出生から判断して、人口はこの中間の二〇年間に減少したものと推論し得るかもしれぬ。しかしこの期間における出生と死亡との平均比率から見ると、その間に伝染病流行年があったにもかかわらず、人口は著しく増加したに違いないように思われる。したがって出生の総人口に対する比率は決定的な変化を遂げたに相違ないのである。同じ表の他の二〇年間にも、出生と結婚との両者に関して同様の結果が見られる。出生の結婚に対する比率の両極端は三四対一〇及び四二対一〇であり、中項は約三八対一〇である。一七五七年に始まる三箇年は、他の表におけると同様に、極めて死亡の多い年であった(訳註)。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 99.
〔訳註〕これ以下の第二版の諸パラグラフは第三版では削除され新しいものがこれに代った。削除された第二版の部分は次の如くである、――
『ロシアでは、年出生の年結婚に対する比率は、わずかに約三六対一〇に過ぎないけれども、非常に急速な増加が進行中であることは、吾々の知るところである。そして、もし吾々が、人口増加が更にいっそう急速なアメリカの表を有っているならば、年出生の年結婚に対する比率が四対一以下なることを見ることであろう1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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『1)[#「1)」は縦中横] 「合衆国における生命蓋然率に関する諸観察」と題する、バアトン氏の手になる「フィラデルフィア協会会報」にある一文(Vol. iii. No. vii. p. 25.)から見ると、私がここに述べた蓋然率は違っていないとも限らない。もし実際、バアトン氏の計算が、合衆国全般について真と考え得るならば、産児の半数は一三または一四歳以下で死亡することとなり、従って産児の半数は結婚まで生存し得ないであろう。しかし事実は、バアトン氏の計算は、国全般に適用しているけれども、フィラデルフィア市とその他確かに健康状態のよくない一、二の町や村から得てきたものなのである。我ヨオロッパの最大諸都市は、云うまでもなく、産児の半数が一二・五歳以下で死亡するというフィラデルフィアほどには、健康状態がよくないが、しかし我が中級都市の多くは遥かにこれより健康的である。フィラデルフィアで四五分の一、サレムで四七分の一という、バアトン氏の死亡率の計算は、確かに彼れの他の見積りと矛盾するものであり、従って短期間につき、しかも伝染病流行の年を除外して、採ったものでなければそうはならない。実際、彼はこの種の除外を行ったことを一、二の場合で認めており、従って彼れの計算は信頼し得ないものである。彼は一結婚当りの出生は六・五と述べているが、しかし彼が与えている数字の方は四・五でしかない。そして後者が一結婚当りの子供の正しい比率であると仮定し、またもし同時に産児の半数は一四歳以下で死亡すると仮定するならば、一切のアメリカの人口増加は不可能であろう。全体として、吾々はこの一文にある計算は合衆国全般には適用し得るとは考え得ず、産児の半数が、またヨオロッパの如くに二五歳、三〇歳、またはそれ以上まで生存することなく、一四歳以下で死亡するとも考え得ないが、しかしもし、それが青春期未満の大きな死亡率を意味するとしたら、アメリカで確実に進行中の急速な人口増加を説明するためには、各結婚当りの出生は七ないし八の多きに上るものと、考えなければならない。フランクリン博士は、アメリカでは一結婚当りの出生は八で、産児の半数は結婚まで生存すると想像している
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