フ間に人口は二倍以上に増加しているのに――大差はない。従って、出生の総人口に対する比率[#「比率」に傍点]は、最初と最後とでは、著しく変っていなければならぬ(訳註)。
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〔訳註〕第二版ではこの次に二パラグラフあったが、第三版では削除された。第二版の削除された部分は次の如くである、――
『疫病《ペスト》後の四六年を平均して、年出生の年結婚に対する比率は四三対一であり、換言すれば、本篇第四章(訳註――前章冒頭の訳註を参照)で打ち樹てた原則によると、産児四三の中《うち》、その二〇が結婚まで生存する。この期間における出生の死亡に対する平均比率は一五七対一〇〇である。しかし、四三人の子供の中からわずかに二〇が、すなわち四・三の中から二が、結婚まで生存すると仮定して、かかる増加を生み出すためには、私は、該章で述べた理由により、各結婚当りの出生は八でなければならぬと信ずる。
『クロオメは、一国の出生が四以下の場合には、人口は極めて危殆な状態にある、と云っている。そしてこの問題に関する他の著者達と同じく、彼は、各結婚当りの子供の数を、年出生の年結婚に対する比率によって、測定している。しかし私はこれに反し、これら表における年結婚が四人以上の子供を与えるときの方が、人口は危殆な状態にあるのだ、と云いたい。その場合には産児の半数以下しか結婚まで生存しないであろうが、もしそうであるならば、幾分でも大きな増加を生ずるためには、各結婚当りに異常な数の子供が生れなければならない。プロシアでは、結婚は極めて多産的であり、従って著しい子供の死亡率を見ながら、人口増加は停止しなかった。しかしこの死亡率そのものは好ましい基準とは考え得ない。そして急速な増加が進行中の他の諸国においては、年出生の年結婚に対する比率は、一般に、四対一というほどに高くなく、または普通の計算法によれば、各結婚は四人以上の子供しか産んでいない。』
 なお直前のパラグラフは、かなりの加筆を受けた後、第三版以下では前章に再現している。二四五―二四六頁参照。
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 従って(訳註)、ある国の過去の人口を測定するに当って一定の出生率を仮定することが、いかに誤謬の基となりやすいかが、わかるであろう。今の事例においては、右の仮定によれば、死亡数から見て疫病《ペスト》により三分の一を失っているにもかかわらず、人口はほとんど減少しなかったという結論に達することになろう。
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〔訳註〕これとこの次との二パラグラフは、第二版になく、第三版以下のものである。
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 これと同種の変動は、その程度こそ違え、ジュウスミルヒが蒐集した一切の表の死亡、出生、結婚の比率に現われている。そしてこれらの問題に関する論者は、わずか数年の比率から、過去及び将来の計算を余りにも行い勝ちであるから、かかる変動の実例をもう少し挙げて読者の注意を促すのが、有益であろうと思われる。
 ブランデンブルグ選挙伯領では1)[#「1)」は縦中横、行右小書き](訳註)、一七一二年で終る一五箇年間に、出生の死亡に対する比率はほとんど一七対一〇であった。一七一八年で終る六箇年間には、この比率は一三対一〇に下り、一七五二年で終る四箇年間にはわずかに一一対一〇となり、一七五六年で終る四箇年間には一二対一〇であった。一七五九年で終る三箇年間には死亡が著しく出生を超過した。出生の総人口に対する比率は与えられていないが、しかし出生の死亡に対する比率に見られるこの大きな変動が、もっぱら死亡の変動から生じたものではなかろう。出生の結婚に対する比率はかなり斉一で、両極端もわずかに三八対一〇及び三五対一〇に過ぎず、中項は約三七対一〇である。この表では、一七五七年に始まる三箇年までは大きな伝染病はなく、そしてこの表はこの期間で終っている。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmilch's Go:ttliche Ordnung, vol. i. tables, p. 88.〕
〔訳註〕これ、及びその次の二つの、三パラグラフは、第二版のものに対し第三版で著しく加筆訂正されたものである。
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 ポメラニア大公国では1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、六〇年間(一六九四年ないし一七五六年、その両年を含む)の出生の死亡に対する比率は一三八対一〇〇であった。しかし六箇年を一期とすればそのある期間では、それは一七七対一〇〇、及び一五五対一〇〇というが如き、高率であった。がまたある期間にはそれは一二四対一〇〇、及び一三〇対一〇〇というが如き低率であった。五年ないし六年を一期とする各期における出生の結婚に対する比率の両極端は、三六対一〇及び四三対一〇であり、
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