牛・の出産性を表わしもしなければ、また結婚まで生存する産児の比率を表わしもしない。
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『人口増加の速度は、各一結婚当りの産児の数と、この数のうち結婚まで生存するものの比率とに、依存する。この速度の尺度は、死亡以上に出ずる出生の超過が総人口に対して採る比率である。』
以上が第二版の削除された部分であるが、この次のパラグラフは、第三版以後と同じく、『出生の死亡に対する』云々ではじまるものであり、訳註で特に断ってあるものの外は大体次と同じである。
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出生の死亡に対する比率、及びこれらの総人口に対する比率が分れば、読者が一見してこれから増加率と倍加期間を知ることが出来るように、私はユウラアの計算になる二表をジュウスミルヒから転載することとするが、この表は私は極めて正確なものと信じている。第一表は死亡率が三六分の一と仮定した場合に限るから、従ってかかる死亡率の国でなければ適用し得ない。第二表は一般的であり、もっぱら埋葬以上に出ずる出生の超過が総人口に対して採る比率を基礎とするものであるから、従って死亡率の如何《いかん》を問わず、広くあらゆる国に適用し得よう。私は今また(訳註)(一八二五年)第三表を追加することとしたが、これは我国及び他の若干諸国で十年ごとの人口実測を行う慣習があるのを考慮して便宜であろうと思ったからのことである。これはケインブリジのピイタア・ハウスのB・ブリッジ師の計算になるものであり、任意の十年間の百分率増加が得られた時に、この増加率が継続するものと仮定して、増加率すなわち倍加期間を知ることの出来るものである。
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〔訳註〕『私は今また』以下は第六版のみに現わる。
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出生と埋葬との間の比率が与えられるならば、死亡率の大であればあるほど倍加期間の短いことが見られるであろう。けだしこの仮定によれば、出生は死亡と共に増加し、そして両者が総人口に対する比率は、死亡率がより[#「より」に傍点]小であり、年長者の数がより[#「より」に傍点]多い場合よりも、大であるからである。
トゥック氏によれば、ロシアの死亡率は五八分の一、出生率は二六分の一である。埋葬の脱漏を斟酌して死亡率を五二分の一と仮定すれば、出生は死亡に対して二対一、出生超過の総人口に対する比率は五二分の一となる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。第二表によれば、倍加期間はこの場合約三六年であろう。しかし、出生の死亡に対する比率を、二対一としておいて、第一表の如くに死亡率を三六分の一と仮定すれば、埋葬以上に出ずる出生の超過は総人口の三六分の一となり、そして倍加期間はわずかに二五年となるであろう(訳註)。
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1)[#「1)」は縦中横] ここに挙げた比率は、トゥック氏の第二版の附表から採ったものとは異る。しかしここではそれは問題をより[#「より」に傍点]容易にかつより[#「より」に傍点]明瞭に例証するものと思われる。
〔訳註〕第二版ではこの次に一パラグラフあったが後版では削除された。それは次の如くである、――
『非常に健康的であり、その結果として成人の数の大である国では、出生は、総人口に対して、成人の数がこれより少い場合と同一の比例を決してとらないものである。従って死亡以上に出ずる出生の超過は、短期間には、従前の人口に等しい人口を生み出すことは出来ない。』
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[#表(fig45455_08.png)入る]
[#表(fig45455_09.png)入る]
[#表(fig45455_10.png)入る]
[#改丁]
第十二章 伝染病が出生、死亡、及び結婚の記録簿に及ぼす影響(訳註)
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〔訳註〕本章は第二版ではヨオロッパ中部を論じた章の次の第六章となっていたが、第三版ではかなり書き改められた上でここへ移された。書き改められた場所は後半であり、前半は特別に断った個所の外はおおむね第二版のままである。
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ジュウスミルヒが蒐集し五〇年ないし六〇年の期間を包含する極めて貴重な死亡表から見ると、ヨオロッパのあらゆる国が、その人口増加を阻止する週期的な疾病流行季に見舞われ、また一世紀におそらく一、二囘、その住民の三分の一ないし四分の一を一掃する猛烈悪性の疫病《ペスト》に襲われずにすんだ国がほとんどないことが、はっきりとわかる。かかる死亡期がすべての出生、死亡、結婚の一般比率にいかに影響を及ぼしたかは、一六九二年ないし一七五七年のプロシア及びリトアニアの統計表に明瞭に例証されている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmi
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