黶Aまた引続き他所者を受入れている都市においては、この比率は遥かに過大に与えられるであろう。年出生の年結婚に対する比率は一般に地方の方が都市よりも高い。しかしもし住民の移動がないならば、都市の比率は遥かに最高であろう。もし地方教区において、出生が結婚に対し四または四・二分の一対一であるならば、この事実は、その地の出生四または四・二分の一のうち、その地で二が結婚まで生存したことを意味するが、しかしおそらく多数のものが移民となって出ており他の地で結婚しているであろうから、従って吾々は、この比率から、四または四・二分の一のうちわずかに二が結婚まで生存したとは、積極的に推論することは出来ない。
『都市では、出生の結婚に対する比率は極めてしばしばわずかに三、及び三・二分の一対一であり、この事実は、三人または三人半の子供のうち二人が結婚まで生存したことを意味するように思われよう。しかしこれらの都市では、おそらく死亡表から、産児の遥か半数以上が青春期以下で死亡することが知られている。従って上記の比率はおそらく、都市で生れて結婚まで生存する子供の真の比率を表わし得ないものであり、その出生は記録簿に現われないのにその結婚は現われている他所者の流入によって生じたものである。幼少年期の大きな死亡率のある都市では、その地で生れたものの結婚以外には記録されぬならば、年出生の年結婚に対する比率は、各一結婚に対しその存続期間中生れる子供の比率よりも大であり、そしておそらく、三または三・二分の一対一ではなく、六または七対一に達するであろう。
『ライプチヒでは、出生の結婚に対する比率はわずかに二・八対一である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そしてジュウスミルヒは、この事実をもって各一結婚当りの産児がわずかに二・八なることを意味するものと想像して、この異常な出産性の低さを説明するのに当惑している。しかし記録簿におけるこの外見は、疑いもなく、他所者の大きな流入によるか、または近隣地方の住民の結婚式を市内で挙げる慣習によって、生ずるものである。
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『1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmilch's Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. v. s. lxxxiii. p. 171.
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『記録簿がかなり注意深く記録されていると想像されているジュネエヴでは、一七〇一年ないし一七六〇年の結婚数は二一、四九三であり、同期の出生数は四二、〇七六であった。この事実から、各一結婚は平均して二人以下の子供しか産まなかったものと、推論されている。これらの数を挙げている『英国文庫』〔Bibliothe`que Britannique〕 中の貴重な論文の筆者は1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、当然この結果にいささか驚いているが、それでもなおこれをもってジュネエヴの婦人の出産性の尺度として採用している。しかしながら、この事情は、疑いもなく、新来者の不断の流入から生ずるものであり、彼らの結婚は記録簿に現われるが出生には現われないのである。もし各個の母親から生れる子供の数を注意深くジュネエヴの死亡表において辿るならば、その結果が極めて異るべきことを、私は信じて疑わないのである。
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『1)[#「1)」は縦中横] Tom. iv. p. 38. note.
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『パリでは、年出生の年結婚に対する比率は約四・二分の一対一であり1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、従って婦人は大都市としては通常以上に多産的であると考えられている。しかしこの比率からはかかる推論は正当に下し得ないのであり、この比率はおそらく、単に、市内で生れたものでないものの結婚が余り行われず、近隣の村で結婚式を挙げる習慣のあることにより、生ずるものである。パリでは総人口に比例して少数の結婚しか行われぬこと2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、及びパリ周辺の村では通常以上の結婚が行われる事実が、この仮定を確証するように思われる。
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『1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmilch's Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. v. s. lxxxv. p. 174.
『2)[#「2)」は縦中横] パリでは、年結婚の総人口に対する比率は、ジュウスミルヒによれば、一対一三七であり、クロオメによれば、一対一六〇である。ジュネエヴではそれは、一対六四であり、そしてこの異常な結婚率は、確かに主として、他所者の大きな流入によるものである。年出生の年結婚に対する比率が新来者または移民退去によって大きな影響を蒙る場所では、いずれにしてもそれからは正確な推論はほとんど下し得ない。それは
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