カの結婚に対する比率は、好ましからぬ徴候とは看做すことは出来ない。
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1)[#「1)」は縦中横] 〔Ueber die Bevo:lkerung der Europa:is. Staat. p. 91.〕
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産児の大部分が結婚まで生存するからといって、その国の結婚は早婚であるとか、または人口に対する予防的妨げが普及していないとかいうことには、ならないということを、注意しなければならぬ。ノルウェイやスイスの如き国では、産児の半数が四〇歳以上まで生存するのであるが、これらの国では、半数よりもやや以上が結婚まで生存するけれども、二〇歳ないし四〇歳のものの多数が独身状態にあることは明かであり、そして予防的妨げは著しく行われているように思われる。英蘭《イングランド》ではおそらく産児の半数が三五歳以上まで生存し1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、そして半数よりやや以上が結婚まで生存するけれども、予防的妨げが、ノルウェイやスイスと同程度ではないにしても、(吾々の知る如くに)著しく行われていることであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] 現在(一八二五年)及び過去十年間、または二十年間ですら、産児の半数は四五歳まで生存すると信ずべき理由がある。(訳註――この註は第六版のみに現わる。)
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予防的妨げの尺度は、おそらく、年出生の総人口に対する比率の小なることである。年結婚の人口に対する比率は、事情を同うする諸国においてのみは正しい基準たりうるにすぎず、結婚の出産性または青春期以下の人口の比率及び人口増加率に差異のある場合には、不正確である。もし一国の全結婚が数の多少は別として、早婚であり、従って多産的であるならば、同一の出生率を生ずるためには、結婚率がより[#「より」に傍点]小とならなければならない。しからざれば、同一の結婚をもってより[#「より」に傍点]大なる出生率をもたらすであろう。この後者の場合はフランスに当てはめ得るように思われるが、この国では出生も死亡もスウェーデンより大きいが、しかし結婚率はほとんど同一かまたはむしろ以下なのである。そしてこの二つの国を比較した場合に、その国の人口の中《うち》、他方よりも遥かに大きな部分が青春期以下である時には、年結婚の総人口に対する一般的比率なるものは、総じて結婚年齢にあるものの間に予防的妨げが同じく行われていることを、意味するものではないことは、明かである。
予防的妨げが都市で最も行われていることにはほとんど疑いはあり得ないが、それにもかかわらず、都市では地方よりも結婚率が大であるのは、一部分は、青春期以下の人口の比率が小であること、並びに外来者の流入に、よるものである。この反対もまた真であろう。従って、人口の半数が十六歳以下のアメリカのような国においては、年結婚率は、予防的妨げの作用が実際いかに少いかを正確に表わしはしないであろう。
しかし、たいていの国の婦人の自然的出産性はほとんど同一であると仮定すれば、出生率の小なることは一般に、かなり正確に、予防的妨げの行われる程度を表現するものであるが、ただしこの場合それが主として晩婚従って不生産的結婚によって生じたものであるか、または独身で一生を終る青春期以上の人口の比率が高いのによって生じたものであるかは、問わないのである(訳註)。
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〔訳註〕本章のここまでのところは、第三版に書き改められたものが大体第六版まで踏襲されているのであって、第二版のものは全部削除されている。ここまでの第二版の分は(前述の如くそれは同版では第四章となっているが)次の如くである、――
『第四章 結婚の出産性について
『前章で触れた如くロシアにおいては出生の死亡に対する比率は異常なるものがあり、またかかる比率は極めて急速な増加を確証している人口実測によってかなりに確証されているのであるが、かかる事実にもかかわらず、たいていの州においては、各一結婚はわずかに三人の子供を産むに過ぎぬように思われる。
『しかしちょっと考えてみるならば、一国の人口が規則正しく減少するのを防止するためには、各一結婚が、平均して、一結婚を、換言すれば結婚まで生存する子供二人を、産まなければならぬことは、明かであろう。もしその結果がこれに達しないならば、結婚数は徐々として減少していき、そして各一結婚当りの子供の数が依然同一であるならば、人口は云うまでもなく減少し続けるであろう。もし各一結婚が正確に二人の結婚する子供を産むならば、結婚数と子供の数とはどの世代でも同数であるから、人口は減退することも増加することも出来ず、正確に停止的でなければならない。
『各一結婚の産児の数が、ロシ
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