か、生別れならばどういふ都合で御離縁になつたといふ事、その辺は御如才なく御聞きなすつたのとさすが年上だけに念を押すを、花子は事もなげに受けて、ハアそれは承りましたよ、もつとも人の噂ですがト、何でもその何ですとネー、その前の奥様といふのが、非常な嫉妬深い方で、ちよつとよそで寝泊りなすつても、大変やかましくおつしやつたり、小間使の美しいのをお置きなすつても、気にかけたりして、始終そんな事の喧嘩ばかししていらつしつたさうで、それがあまりおもしろくないので、こちらはだんだんお遊びなさる、奥様はますますやかましくおつしやる。そんなこんなでお家へお帰りなさるのが厭なものだから、外へ一軒家をお持ちなすつて、留守居を入れてお置きなすつたのを、それを妾宅だとまた奥様が気を廻して、とかくいざこざが絶へなかつたので、奉公人の手前も不躰裁だからツて、全躰に気に入らないお嫁さんなもんですから、親御が御離縁をお勧めなさつたのださうです。何のあなた男の事ですもの、ちつとやそつと遊んだつても、自分さへ捨てられなきアいいでしやう、それをあンまりやかましくいふなんざアという顔眺めて君子は考へ、さアそこが考へどころなんです
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