、いうことを肯定せずばならない訳でございましょう。
では、(三)のような、人為的な過失によるもので御座いましょうか。……造りものの鐘の中にある木か、鎹《かすがい》の類が、頭にあたった――とでも申すのでございますれば、大道具の手落ち故、とも考えられるでございましょうが、何分にも、撥という事が、はっきりと分っている上からは、人為的な過失に原因するとも考えられないでございましょう。
そうすれば、結局(四)か、または、(五)の第三者による殺人と断定しなければならないでございましょう。それも、ああした情況のもとに行われた殺人といたしますれば、(五)の計画された殺人事件――綿密な計画と、非常に周到な用意のもとに決行された事件と考えるが当然でございましょう。
|○|[#「|○|」は縦中横]
これで、第三者の手による、計画された殺人事件――と、ほぼ、断定し得る訳でございましょう。そうすれば、次は、誰が殺したのであろうか――即ち、加害者の問題になる順序でございましょう。しかし、当時の情況や、被疑者の陳述を、静かに、考えますれば、あの殺人事件の計画者が、直接に手を下していない――
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