られもせんじゃないか。そんな馬鹿々々しい。スパルミエントがルパンの共犯者だなんて!』
 ガニマールはニヤリと笑った。
『御もっともです。しかしお考え下さい。大佐がルパンの共犯者とすると、すべての問題を解くことが出来るんです。夜中に三人の探偵が階下で見張っている間に、いや、むしろ、大佐から強いシャンペンの御馳走になって、前後も知らず眠っている間に、大佐は壁布をはずし室の窓から外へ出しました。その方面の階下の室の窓は、全部塗りつぶされてあり[#「り」は底本では欠落]ますから見張っていない街の方の窓の方からです‥‥』
 課長は笑い出した。
『駄目々々。』
『なぜです?』
『なぜと云って、大佐がルパンの共犯者とすると、仕事のすんだ後殺されるわけはないじゃないか。』
『どうして大佐が殺されたというんです?』
『現在、死体が出たじゃないか。』
『ルパンは決して人を殺しません。』
『だって、事実は仕方がない。しかもスパルミエント夫人が死体を承認したじゃないか。』
『そのお言葉を待っていました。実は私もここで大いに頭を悩したんです。突然二人が三人になったのですから‥‥。第一がアルセーヌ・ルパン、第二が
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