ましょうといいますと、怪獣はよろこんで、そうやって、いつまでも、ここからはなれない約束をしてくれるように、といいました。
ところで、その朝、れいの姿見にうつったところでは、ラ・ベルの父親が、むすめがもう死んでいるとおもって、たいへんかなしがって、重い病気になっていることがわかりました。しかもふたりの姉は、よそへおよめに行っていて、男のきょうだいたちは、兵隊に出ていました。それで、むすめは、怪獣にそのわけを話して、このままながく、ここを出ることができないなら、父親のことが心配で、死んでしまうかもしれないといいました。
すると、怪獣はいいました。
「いいや、けっしてそれまでにして、お前をとめておこうというのではない。お前にそんなおもいをさせるほどなら、怪獣のわたしが、お前をなくしたかなしみのために、死んだほうがましだよ。」
でも、むすめは、ほんの一週間したらまたかえってくるからと、かたく約束して、父親の見まいに行くことをゆるされました。ただ、出て行くとき、鏡の前に、ゆびわをのこしておいて行ってくれればいいと、怪獣はいって、いつものとおり、お休みなさいをして、出て行きました。
そのあ
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