、わたしののぞみといったら、おとうさまが、いまどうしていらっしゃるか、知ることですわ。)
 ラ・ベルがこう心におもいながら、ふと、そこの姿見《すがたみ》をのぞいたとき、ちょうど、父親のうちへかえったところが、そこに、うつりました。姉たちが、出むかえに出て来ました。かなしそうな顔はしながら、ほんとうは、妹の居なくなったのを、よろこんでいるのがわかりました。まぼろしは、一しゅんで消えました。ラ・ベルは、自分ののぞみを怪獣がかなえてくれたことを、ありがたいとおもいました。
 おひるになると、ちゃんと、テーブルに、おひるの食事がならびました。食事のあいだ、うつくしい音楽が、ずっときこえていました。でも、きこえるだけで、たれも出てくるものはありません。夜《よる》になったとき、怪獣は出てきて、いっしょに夕食をしようといい出しました。ラ・ベルは、あたまのてっぺんから、足の爪《つま》さきまで、ぶるぶるふるわせながら、それでもいやということはできません。それを、怪獣がみて、自分をずいぶんみにくいとはおもわないかといって、たずねました。
「はい、おっしゃるとおりです。」と、むすめはこたえました。「だって、
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