、できませんでした。そこで、ちいさいかぎを手にとって、ぶるぶる、ふるえながら、小べやの戸をあけました。
窓がしまっているので、はじめはなんにも見えませんでした。そのうち、だんだん、くらやみに目がなれてくると、どうでしょう、そこの床《ゆか》の上には、いっぱい血のかたまりがこびりついていて、五六人の女の死がいを、ならべてかべに立てかけたのが、血の上にうつって見えていました。これは、みんな青ひげが、ひとりひとり、結婚《けっこん》したあとで殺してしまった女たちの死がいでした。これを見たとたん、奥がたは、あっといったなり、息がとまって、からだがすくんで動けなくなりました。そうして、戸のかぎ穴からぬいて、手にもっていたかぎが、いつか、すべり落ちたのも知らずにいたくらいです。
しばらくして、やっとわれにかえると、奥がたはあわてて、かぎを拾いあげて、戸をしめて、いそいで二階の居間にかけてかえると、ほっと息をつきました。でも、いつまでも胸がわくわくして、正気《しょうき》がつかないようでした。
見ると、かぎに血がついているので、二三ど、それをふいてとろうとしましたが、どうしても血がとれません。水につ
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