青ひげ
ペロー Perrault
楠山正雄訳
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)盆《ぼん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一|週間《しゅうかん》
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)ぬいはく[#「ぬいはく」に傍点]
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一
むかしむかし、町といなかに、大きなやしきをかまえて、金の盆《ぼん》と銀のお皿《さら》をもって、きれいなお飾《かざ》りとぬいはく[#「ぬいはく」に傍点]のある、いす、つくえと、それに、総金《そうきん》ぬりの馬車までももっている男がありました。こんなしあわせな身分でしたけれど、ただひとつ、運のわるいことは、おそろしい青ひげをはやしていることで、それはどこのおくさんでも、むすめさんでも、この男の顔を見て、あっといって、逃げ出さないものはありませんでした。
さて、この男のやしき近くに、身分のいい奥《おく》さんがあって、ふたり、美しいむすめさんをもっていました。この男は、このむすめさんのうちどちらでもいいから、ひとり、およめさんにもらいたいといって、たびたび、この奥さんをせ
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