めました。けれど、ふたりがふたりとも、むすめたちは、この男を、それはそれはきらっていて、逃げまわってばかりいました。なにしろ青ひげをはやした男なんか、考えただけでも、ぞっとするくらいですし、それに、胸のわるいほどいやなことには、この男は、まえからも、いく人か奥さまをもっていて、しかもそれがひとりのこらず、どこへどう行ってしまったか、ゆくえが分からなくなっていることでした。
 そこで、青ひげは、これは、このむすめさん親子のごきげんをとって、じぶんがすきになるようにしむけることが、なによりちか道だと考えました。そこで、あるとき、親子と、そのほか近所《きんじょ》で知りあいの若い人たちをおおぜい、いなかのやしきにまねいて、一|週間《しゅうかん》あまりもとめて、ありったけのもてなしぶりをみせました。
 それは、まい日、まい日、野あそびに出る、狩《かり》に行く、釣《つり》をする、ダンスの会だの、夜会《やかい》だの、お茶の会だのと、目のまわるようなせわしさでした。夜《よる》になっても、たれもねどこにはいろうとするものもありません。宵《よい》がすぎても、夜中がすぎても、みんなそこでもここでも、おしゃべ
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