た戸棚のかぎだ。これは金貨《きんか》と銀貨をいっぱい入れた金庫《きんこ》のかぎだ。これは宝石《ほうせき》箱のかぎだ。これはへやのこらずの合いかぎだ。さて、ここにもうひとつ、ちいさなかぎがあるが、これは地下室《ちかしつ》の大ろうかの、いちばん奥《おく》にある、小べやをあけるかぎだ。戸棚という戸棚、へやというへやは、どれをあけてみることも、中にはいってみることも、おまえの勝手《かって》だが、ただひとつ、この小べやだけは、けっしてあけてみることも、まして、はいってみることはならないぞ。これはかたく止めておく。万一にもそれにそむけば、おれはおこって、なにをするか分からないぞ。」
 奥がたは、おいいつけのとおり、かならず守りますと、やくそくしました。やがて青ひげは、奥がたにやさしくせっぷんして、四輪馬車に乗って、旅だって行きました。

         二

 すると、おくがたの知りあいや、お友だちは、お使を待つまも、もどかしがって、われさきにあつまって来ました。およめ入りさきの、りっぱな住まいのようすが、どんなだか、どのくらい、みんなは見たがっていたでしょう。ただ主人がうちにいるときは、れいの
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