ふことは宜しくないと云ふ議論があると云ふことを言つて居るのであります。
夫から第五の點は公羊學は大同小康と云ふ思想ありと爲す點であります。公羊家に言はせますと孔子の春秋は歴史を書いたものでない、即ち教法を書いたものである。孔子は春秋を三期に分つて居る。一番には衰亂の時代、第二には昇平時代、三番は泰平時代と斯う云ふ風に分けて居ります。無論歴史上の事實から申しますと、春秋の初めより後になりますと亂れて居りますが夫は歴史のことであります。孔子の假想したものは初めは衰亂の時代であつて、其次が昇平の時代、夫から泰平の時代と云ふことになつて居ります。衰亂の時代に於きまして孔子の教法は何うであるかと云ふと魯を大事にして居る、さうして他の國を魯と區別して居る。夫から昇平時代となりますと今度は支那と夷狄と云ふものに分つた。夫から泰平時代になりますともう世界が一つになつて詰り國の境が無くなる、支那人も夷狄も何にもない、即ち世界が統一された時代である、斯う云ふ風に觀て居る。隨つて衰亂時代、昇平時代、泰平時代で、第三期の泰平時代には孔子の教法が極點に達する時である。
大同小康も同じ樣な事で禮記禮運によると
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