軽くなり、眼を転じて自分の身の周りを見ると、流水はもう大部退いており、所々に大きな平たい石が露出し、その石の割目《われめ》には、色々のものが挟まっておるが、あるものはピンと突立《つった》ち、あるものはまだ動いている。彼女は、その一つが眼を白黒してボンヤリと彼女を見詰めているのを認めたが、それは全身を鉄片で包み、顔色には失望と恐怖が表れている。
「今のは何ごとだね?」彼女は自ずとそう訊くのであった。
「ああ、天は喪《そう》を降《くだ》されました」その一つがいとも悲しそうにいった。「※[#「端のつくり+頁」、第3水準1−93−93]※[#「王+頁」、第3水準1−93−87]《せんぎょく》道ならず、我が后《きみ》に抗し、我が后は自らこれに天罰を加えるために、郊で戦われたが、天は徳を祐《たす》けず、我が軍隊は敗走致しました……」
「何?」彼女は今までこんな風な話を聴いた事もなかったので、非常に不審に思った。
「私共の軍隊は敗走し、私共の后はそのためにその頭を不周の山に打ちつけられ、そのために天の柱は折れ、地の軸は絶え、私共の后も歿《な》くなられました、ああ、これは本当に……」
「よろしい、よろ
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