まえ、また仙……仙薬を授けたまえ……」彼は頭を上げたり下げたり、異様な恰好をしている。
 彼女はただ茫然として、「何?」としかいい得なかった。
 それらのなかの他の多くのものどもも、一様に嘔吐しながら、「神よ神よ」と叫んでは、それに続いて、また皆《み》んな異様な恰好をする。彼女は、それらのものに悩まされて、この一引きがとうとうわけのわからぬ禍《わざわい》を引き起したことをすこぶる後悔した。彼女は思案に暮れて、四方を見渡したが、一群の大きい亀が海面に嬉々として戯れているのが見えた。彼女は覚えず非常に喜び、直ちにその山を彼等の背中に載せ、「もう少し平穏なところに載せていっておやり!」と言いつけた。大きい亀どもは、肯いた様子をして、群《ぐん》をなし隊を結んで、それを載せて行った。しかし前の方が牽きすぎて、山の上から顔に白い毛のある一つ振り落され、その時早く水面にも落ちず、海辺に俯伏《うつぶし》になって、自分の脣《くちびる》を打った。女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]は可哀想に思ったがそのままにしといた。彼女は本当にそんなことに構っている暇もなかった。
 彼女は一息吹いて、少し気持が
前へ 次へ
全19ページ中8ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
魯迅 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング