めて、山を近くに引寄せてよく見ると、それらのものの周りの地上には、金色の玉の粉末が乱雑に散らばっており、また、かみ砕いた松柏の葉や魚の肉が雑《まざ》っている、それらが続いて、ポツリポツリと頭を上げてきた。女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]は眼を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》ったが、それは自分が先ほど作った小さいものであるということが、容易《たやす》く判った。しかし不思議にも、何かで体を包んでおり、またそのうちの幾つかは顔の下半部に雪のように白い毛をはやしており、それは海水のために粘りついているが、尖った白楊の葉のようである。
「おやあ!」彼女は訝りかつ怖れて叫んだが、その膚《はだ》には粟が生じ、毛虫にでも触ったようである。
「天に在《まし》ます神よ、助けたまえ……」顔の下半部に白いもののはえている一つが、頭を上げ、嘔吐を催しつつ、途切れ途切れにいうのであった。「助けたまえ……身どもは仙術を学ぶものである。懐劫《かいごう》が到来して、天地が分崩するとは、誰が予期したろうか。……今|幸《さいわい》にして、天に在《まし》ます神にお出会いしましたが、蟻の命を助けた
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