不周山
魯迅
井上紅梅訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)微風《そよかぜ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)今|幸《さいわい》にして
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]
−−
一
女※[#「女+咼」、第3水準1−15−89]《じょか》は、たちまち目を醒ました。
彼女は夢から驚き醒めたが、もうその時にはどんな夢を見たかハッキリ覚えていない。ただ非常に悩ましく、何か物足りなく、また何か多過ぎるようでもあった。そそるような微風《そよかぜ》が、温《あたた》かに彼女の力を吹出して宇宙の中に満ち渡った。
彼女は自分の眼をこすった。
薄紅色の大空には、幾重にも千切れ千切れの薄緑の浮雲が漂い、星がその後に瞬いて光っては消え、光っては消えた。大空の果の真赤の雲の間には光芒四射する太陽が一つあって流れ動く金の玉のごとく、大昔の荒漠たる溶岩のなかに包まれている。その一方には鉄のように
次へ
全19ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
魯迅 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング