城内|行《ゆき》を決行した。
第六章 中興から末路へ
阿Qが再び未荘に現われた時はその年の中秋節が過ぎ去ったばかりの時だ。人々は皆おッたまげて、阿Qが帰って来たと言った。そこで前の事を囘想してみると、彼はいつも城内から帰って来ると非常な元気で人に向って吹聴したもんだが、今度は決してそんなことはなかった。ひょっとすると、彼はお廟《みや》の番人に話したかもしれない、未荘のしきたりでは趙太爺と錢太爺ともう一人|秀才太爺《しゅうさいだんな》が城内に行《ゆ》けば問題になるだけで、偽毛唐でさえも物の数にされないのだから、いわんや阿Qにおいてをやだ。だから番人の親爺も彼のために宣伝するはずもないのに、未荘の人達がどうして知っていたのだろう。
だが阿Qの今度の帰りは前とは大《おおい》に違っていた。確かにはなはだ驚異の値打があった。
空の色が黒くなって来た時、彼は酔眼朦朧《すいがんもうろう》として、酒屋の門前に現われた。彼は櫃台《デスク》の側へ行って、腰の辺から伸した手に一杯握っていたのは銀と銅。櫃台《デスク》の上にざらりと置き、「現金だぞ、酒を持って来い」と言った。見ると新し
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