が潜みいると見える。とにかく秘密の鍵を開くべき一番の近道は山へ登って墓をあばくのが一番だと想いますじゃ」

        二

 二人の相手は庭に出て、猛烈な夜嵐におそわれ、頭を吹飛ばされそうになるまでは、いつの間に師父ブラウンの後についてきたのか自分でさえ気がつかないくらいであった。それにも拘《かかわ》らず彼らは自動機械のように坊さんの後《うしろ》について来たのであった。なぜならばクレーヴン探偵は自分の片手にチャンと手斧をつかんでいるのを見るし、ポケットの中には令状もはいっていた[#「いた」は底本では「居《ゐ》つた」]からだ。フランボーも疑問の人物ゴーの重い鋤を借り出して持っていたからだ。ブラウンは問題の小型の金製《きんせい》の本をしっかと携えていた。山上の墓地に達する路は曲りくねってはいるが、遠くではない。ただ向い風が身体《からだ》にあたるので骨のおれる気がした。見渡す限り、そして上の方へ登れば登るほど、松林の海で、それも今風をうけて見渡すかぎり一様に横様《よこざま》になびいている。その一列一体の姿勢には、それが渺茫《びょうぼう》としているだけに何やら空々たる趣きがあった。ちょう
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