の事は」とターアラントは言った。「この殺人鬼に探偵をつけるに違いないと考えますな、私は自分で彼について行きたいですよ」
「さて」と師父ブラウンは、長い当惑の発作の後で不意に微笑して言った。「わしは彼がなすべきその最初の事を知ってますじゃ」
「そしてそれは一体何んで御座いますか?」と熱心にダイアナ夫人が訊ねた。
「彼は吾々皆んなに弁解すべきじゃな」と師父ブラウンが言った。
けれども師父ブラウンがその著名な考古学者の遅々たる恢復の間その側《そば》にあってスメール教授に話したというのは、この趣意のためではなかった。重に話しをしかけたのも師父ブラウンではなかった。なぜなら教授は興奮するような会話は非常に制限されておったけれども、彼は彼の友人とのそれ等の面会に全力を注いていた。師父ブラウンは沈黙の間に相手に力をつける事に才能を持っていた。そしてスメールはそれに依って勇気づけられて常には容易に話せないような色々な奇妙な事について話した。また恢復の病的な状態なそして時折うわ[#「うわ」に傍点]言を伴う怪異な夢等について話した。ひどく頭を打たれたのから除々に回復するのはしばしばかなり平均を失う仕事で
前へ
次へ
全53ページ中49ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
チェスタートン ギルバート・キース の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング