あ!」とダイアナ夫人は息がつまるように叫んだ、「まあ私は今あなたのおっしゃる事がわかりますわ、あなたは私達が殺人者に逢った事を私達に話すおつもりなんです、殺人者と話した戯談《じょうだん》を言って、彼にロマンテックな話をさせ、そしてそのままに彼を離そうとなさるおつもりなんです」
「岩の上に彼の僧侶の仮装を残してな」とブラウンは補《お》ぎなった。「それは皆至極簡単じゃ。この男は教会と会堂へ行く競争で教授より先きであった。たぶん教授があの新聞記者と話していた間にな。彼は空の棺桶の側に老牧師と共に進んで来た、[#「、」は底本では欠落]そして彼を殺ろしたのじゃ。それから彼は死骸から取った黒い着物を着け、調査間に発見した所の古るい法衣でそれを包んだのじゃ、それからわしが述べたように珠数やそして木の支え棒を手配して、それを棺の中に入れたわけじゃな。それからじゃ、彼の第二の敵に係蹄《わな》をかけて、彼は太陽の光りの所に出て来て田舎の牧師の最も叮嚀さを以て吾々一同に挨拶をしたのじゃ」
「彼はおそろしい冒険をしたですな」とターラントは異議を申し立てた。「誰れかが見てウォルタース氏である事がわかるかもしれな
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