が気づいた最初の事は十字架、むしろ十字架を支えてる紐でありましたのじゃ、当然、あんた方にとっても、それはただ小珠《こだま》の紐であった。[#「。」は底本では欠落]特別にどういうものではなかったのじゃ、が、しかしまた当然、それはあんた方のよりはわしの職掌にあったのじゃからな。あんた方はそれが毛皮製の頸巻が全く短くあったかの如くに、ほんの二三の小珠が見えたばかりで、顎にズット近くおかれた事を御記憶じゃろう。その外に見えてた小珠は変った風にならべられておった。最初の一つそれから三つ、そして続いてな、事実において、わしは一目見てそれは珠数《じゅず》、すなわちそれの一端に十字架のついてる普通の珠数であった事がわかってしまったじゃ。しかし球数は少くとも五十珠とそれに附加する小珠を持ってますのじゃ、それでわしは当然それの残りのものはどこにあるかを不思議に思いよったのじゃ。それは老人の頸を一まわり以上まわるに違いありませんわい。わしはそのときにはそれを判断する事が出来なんだ。がその残りの長さがどこに這入ってるかを想像したのはすぐその後じゃったよ、それは蓋を支えてた、棺桶の角にくっつけられておった木の棒
前へ
次へ
全53ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
チェスタートン ギルバート・キース の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング