てるようです、けれども彼は自分でそれを見つけるのにほんの一分おそく来たのです。しかしこの事件にはあらゆる種類の神秘があります。あの事件に対して、なぜあなたがご自分であの哀れな人を殺さなかったか私にはわかりませんよ」
師父ブラウンはその諷示には少しも悩まされてるようには見えなかった、がその観察に依って非常に当惑させられそしてまた煩わされた。
「あんたは」と彼は卒直に訊ねた。「スメール教授を殺そうとしたのはわしだったと言われるんですかい?」
「いやそうじゃないです」とさっぱりと譲歩する人の態度で手を振りながら、相手が言った。「死人の多くはあなたに取っては決定する事が出来る。スメール教授に限った事じゃありません。まあ、あなたは誰れか他の者が、スメール教授よりもたくさんな死人を出したのを知りませんか? そして私はなぜあなたが、こっそりと彼をやらなかったかわかりませんな、宗教的な相違、ねえ……キリスト教徒の残忍な軋轢……私はあなたがいつもイギリスの牧師管区を取り戻すのを望んでいられたと思いますよ」
「わしは宿屋へ戻りますじゃ」と坊さんはもの静かに言った。「あんたはあそこに居る人達はあんたが意味
前へ
次へ
全53ページ中35ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
チェスタートン ギルバート・キース の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング