た。教授が話してる間さえ、彼の言葉は最もおかしい矛盾を受けた。奇怪な髯をもった円い頭が地の中の穴から急に現われたりした。しばしの後彼等はその穴は事実において非常に大きい穴で、地中の中心に達してる段梯子《はしご》に通じていて、彼等が訪ねようとした地下への入口であった事を了解した。あの小さい男がその入口を発見した最初であった。そして同伴者に話しかけようとして再び彼の頭を差出す前にもう既に梯子を一二段上っていた。彼はハムレットの中の道化に出るある馬鹿気た墓掘りのように見えた。彼はただ彼の深い髯のかげでこう言った。「ここが下りる所ですよ」しかしその声は彼等が一週間の間食事の時に彼と相対していたけれども、彼等は彼が今までに話すのをほとんど聞いた事はなかったし、また彼はイギリスの講師であるように想像されてたが、彼はむしろ外国のアクセントで話すという趣きをその一行の人々に伝えた。
「ねえ、教授」とダイアナ夫人は快活気に叫んだ。「あなたのビザンティンのミイラは見のがすにはあまり惜しゅう御座いましたの、私は皆さんとただ御一緒に見にまいりました。そして皆さんも私と同じようにお感じになったに違いありませんわ
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