はあっ! と叫びながら恐怖の悲鳴を上げて打倒《うちたお》れた。
[#8字下げ][#中見出し]※[#始め二重括弧、1−2−54]五※[#終わり二重括弧、1−2−55]死の連判[#中見出し終わり]
子供は床《とこ》の中に静《しずか》に睡《ねむ》っている。母はルパンの手で長椅子の上に横に寝かされて身動きもしない。しかし段々と呼吸《いき》も穏かになり、血の気もその頬に潮《さ》して来て、ようやく回復の徴候が現れた。
ふと見ると彼女の胸に小さなメタルが垂《さ》がっている。何心なく手に取り上げて裏返して見ると、四十歳前後の立派な紳士と、中学校の制服を着、房々《ふさふさ》した髪の毛をした紅顔の美少年との写真があった。ルパンはそれを見ると、
『思った通りだった……ああ、可憐想《かわいそう》な婦人だ』と一人で呟いた。
その内に彼女は全く意識を回復した。しかし依然として堅く口を噤んでいるので、ルパンは必要な質問をし始めた。そして写真の入れてあるメタルを指して、
『この中学生はジルベールでしょうね?』
『ええ』
『してジルベールはあなたの子供ですね[#「ですね」は底本では「すでね」]?』
『ええ、ジ
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