な援助が必要です。あなた単独《ひとり》では、とても成功はしませんよ』
『私は単独ではございません』
『あすこに居る二人の男かね?私は二人とも知っている。がきゃつ等は問題にはなりません。私を利用なさい。先般、あの劇場で御話した事を覚えていらっしゃるでしょう。その節一切お話し下さるはずでした。今日はゆっくり承りましょう』
彼女はその美しい眼をルパンに向けて、長い間ヂッと彼の様子を眺めて見た。
『あなたはどれだけ私の事を御承知でいらっしゃいますか?』
『知らない事はまだたくさんにあります、第一私はあなたのお名前も知らない。しかし私の知る所では……』
彼女は突然その言葉を遮《さえぎ》り、思い切った強い調子で、
『御伺いする必要はございません。要するにあなたの知っていらっしゃる所はホンのわずかでかつ重要な部分ではございません、しかし、あなたの御考えはどうなのです? あなたは私《わたくし》に助勢してやると仰って下さいますが……何のためにですか? 失礼かもしれませんが、あなたも何か目的をもっていらっしゃるでしょう。私《わたくし》はまずそれを伺いたいのです。一例を申上ぐれば、ドーブレクさんはある品
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