よろしい、私を信じなさい……これこそ未《いま》だかつて敗北を知らないルパンの言葉です。私はきっと成功する。……がただこの際、あなたが今後断じてドーブレクと遭わない事を決心していただきたい』
『ええ、私は誓いましょう』
かくてルパンは夫人と種々打ち合せた上、夫人が久しい間に亙る繊弱き女性の身をもって東奔西走と苦心焦慮の極みを尽したため心身共に極度に疲憊しているので、とりあえず巴里《パリー》から遠くも離れぬサン・ジェルマンの森に住む彼女の女友達の処へ寄寓させて、母子《おやこ》共当分の休養を取らせる事にした。
[#8字下げ][#中見出し]※[#始め二重括弧、1−2−54]六※[#終わり二重括弧、1−2−55]モンモールの古城[#中見出し終わり]
アルセーヌ・ルパンは一方の競争者に握手をした以上、これからはいよいよ怪物ドーブレクとの大闘争を開始しなければならなかった。随って従来の計画を全部放棄して、ドーブレク代議士を誘惑しこれを捕虜とする大計画を確立してグロニャールとルバリュに命じて代議士の動静をいっそう綿密に捜査させる事にした。
ある日午後四時頃、書斎の電話がけたたましく鳴った。サ
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