うに、愛《あい》すまいとしても愛せずには居《ゐ》られないやうなものを持《も》つていらつしやいます。深《ふか》く、強く、眞摯《しんし》にものを愛することが出來るといふのは、なんといふまあ仕合《しあは》せなことでせう! それだのにあなた方は、いつも自分《じぶん》一人《ひとり》が子持《こも》ちになどなつて割《わり》がわるいのだといふやうな顏《かほ》をしていらつしやるほんたうに罰《ばち》があたりますよ。だけど、子供《こども》なんか要《い》らないなどゝ仰言《おつしや》るのは、要《えう》するに空虚《くうきよ》な言葉《ことば》にちがひありません。何故《なぜ》といつて、今《いま》まあ假《かり》にある禍《わざは》ひが來て、あなたのその要らない子供を奪《うば》つて行《い》くとしませう、その時《とき》あなたは必《きつ》と、身《み》も世《よ》もあげてそのお子さんを救《すく》はうとなさるにちがひありませんもの。心《しん》の心は、要らないどころか、大事《だいじ》で大事でならないものを、煩《うるさ》いなどゝあんまり世間並《せけんな》みなことを仰言るな、あなたの惠《めぐ》まれた母の愛を、猶《なほ》この上《うへ》とも眞
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