のねえ、狹《せま》い私の家中《うちぢう》を驅《か》け廻《まは》つてゐるまあちやんとせつちやんの遊《あそ》びは、二人《ふたり》[#ルビの「ふたり」は底本では「わたし」]のやりかけた話をたび/\さらつて行《ゆ》きました、私はたゞ、あなたが(このあなたが[#「あなたが」に傍点]は、とても字《じ》では表《あら》はせないけれど、語氣《ごき》を強《つよ》めて言《い》つているのですよ)兎角《とかく》まあちやんの聲《こゑ》に母親《はゝおや》らしい注意《ちうい》をひかれがちなのを、不思議《ふしぎ》さうに珍らしさうに眺《なが》めてゐました。ほんとにまあちやんの大《おほ》きくおなんなさいましたこと、今更《いまさら》らしく思《おも》つてみれば、あなたもK子《こ》さんも立派《りつぱ》な母親なんですわね。K[#底本では「K」が欠落]子さんとこのせつちやんたら、この頃《ごろ》では私の家《いへ》へひとりで遊びになど來《く》るやうになりました。門《もん》の戸《と》が開《あ》いたと思ふと小《ちひ》さな足音《あしおと》がして、いきなりお縁側《えんがは》のところで「さいなら!」などゝ言つてゐます。
あなた方《がた》はほんと
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